睡眠栄養学について
睡眠と栄養には密接な関係があるとされます。
睡眠不足は様々な問題を引き起こし、栄養学的観点においても多くあります。
・炎症の悪化
・腸内環境悪化
・耐糖能悪化
・食欲の暴走
・交感神経の過活性 etc…
日本は世界の中でも睡眠不足の国として知られています。健康づくりのための睡眠ガイド2023年より推奨される睡眠時間は成人で6時間以上の確保が最低でも必要とされます。また、朝起きた時に休養を取れた!と感じる睡眠休養感を高めることも推奨されています。
睡眠栄養学のポイントとしてあげられるのが、寝つきを良くする、夜間覚醒を減らす、目覚めを良くすることがあげられます。そのためにまず、睡眠の質の低下に関連する3つを取り除くことが重要とされます。
・慢性炎症 キヌレイン、トリプトファン比率の増加、炎症性サイトカインの増加を防ぐ
・低血糖 夜間低血糖、インスリン抵抗性、概日リズムへの影響
・消化機能低下 腸内細菌叢インバランス、腸透過性増加(慢性炎症)を防ぐ
睡眠不足の人に多い食事の傾向として以下のものが挙げられます。
・高脂肪食 特に夜の高脂肪食は注意
・高GL値、高GI値の食品 低GI(GL)の炭水化物を少量と就寝前に糖質少なめのドリンクを飲む
・食物繊維の摂取が少ない
・午後、夕方の糖質摂取量が多い
・食品のバリエーションが少ない
・たんぱく質の摂取が少ない
・間食が多い
睡眠に関連の強い栄養素や食品には以下のものがあります。
・栄養素
たんぱく質(トリプトファン)、糖質、食物繊維、プロバイオティクス、マグネシウム、鉄、ビタミンB6、B12、葉酸、メラトニン、プロシアニジン
・食品
雑穀、タルトチェリージュース、蜂蜜、MCTオイル、CBDオイル、ハーブティー、ホエイプロテイン
その中でも寝つきを良くするために試していただきたい栄養素や食品が以下のものになります。
・マグネシウム
NMDA型グルタミン酸受容体は中枢神経系を中心に分布しており、グルタミン酸が結合することで記憶・学習などに関与するが、興奮性を持っています。マグネシウムはこの受容体と拮抗作用を持ち、興奮を抑制します。また、ノルアドレナリンの分泌を抑制する働きも持っており、睡眠調整に対して重要な役割を持っています。
・ハーブティー
カモミールティーは精神安定剤として利用される薬用植物のひとつです。カモミールティーを摂取した人の睡眠の質に改善がみられた研究結果も残っています。
・テアニン、GABA
テアニン単独ではなく、GABAとの併用でさらに睡眠の質を改善させる効果に期待ができます。L-テアニンは日中に眠気を誘発しないことが特徴なため、いつでも摂取が可能です。GABAは脳内で抑制性神経伝達物質として働きます。興奮を抑制することで眠気を促したり、睡眠の質を上げたりすると考えられています。
・CBDオイル
CBDは大麻草に含まれるポリフェノールの一種で、大麻に含まれるTHCというハイになる成分が入っていないため、人体に悪影響を及ぼすこともなく、アスリートのドーピング検査も問題ありません。CBDは免疫や神経伝達、ホルモン機能のエラーを正常に戻す働きがあり、また非常に強いリラックス効果をもたらしてくれることから不眠にとても有効です。
・メラトニン、グリシン
メラトニンは、脈拍、体温、血圧を低下させて睡眠へ誘導してくれます。光刺激によって脳の松果体という場所で合成されます。合成から分泌までに14~15時間程度必要とされるため朝起きた際に日光の光を浴びることが大切です。
・タルトチェリージュース
チェリージュースに含まれるプロシアニジンB-2がIDOを阻害し、トリプトファンの利用可能性を高め、炎症を軽減させ不眠症の改善に関与している可能性が考えられています。
良い睡眠をとるために心がけてほしい食生活は以下の通りです。
・高脂肪食(油もの)や菓子類は控える
・主食、主菜、副菜をそろえて食べる
・雑穀、豆類、きのこ、野菜、魚類が重要
・1日3食決まった時間に食べる
・朝食が重要、朝・昼は糖質しっかり、夜は糖質控えめ
・就寝前にハーブティー、蜂蜜、プロテイン+MCTオイル
・夕食が遅くなる方は18時頃と帰宅後に軽食程度に分割
・サプリメントも活用、カフェイン摂取は15時まで
睡眠休養感を上げるためには睡眠前半のノンレム睡眠が重要になり、寝つきの改善や、夜間の覚醒が少なくなるように日中の食生活を変えていく必要があります。上記のように高脂肪食、精製糖を減らし、1日3食を基本としましょう。また、朝食では糖質摂取し、夜糖質を控え、就寝前に捕食程度にドリンクを摂ることで夜間低血糖の予防をし、起床時の血糖を安定させ、元気に起きられるようにしましょう。
食事以外にも注意していただきたい点があります。
・寝室は寝る場所にする(眠くなってからベッドに入る)
・ベッドの中ではスマホを触らない
・室温は個人によって違うが、涼しく快適な温度に
・就寝2時間ほど前からSNSは見ない
・就寝時は真っ暗に、就寝前から少しずつ暗くする
・朝に散歩などをして日光を浴びる
・有酸素運動などの適度な運動を行う(日中)
以上のことに注意して質の良い睡眠を取れるようにしましょう。