睡眠五感
みなさんは、毎日の睡眠にどれくらい満足していますか。世界基準で見ると、日本人は「睡眠不足」と言われています。経済協力開発機構(OECD)の21年版調査において、日本人の平均睡眠時間は7時間22分という結果で、OECD加盟国30カ国のうち最下位です。また厚生労働省が令和3年に発表した健康実態調査によると、67.7%の人は睡眠時間が7時間以下であることがわかりました。最近では慢性的な睡眠不足が続いている状態を睡眠負債といい、健康に悪影響を及ぼす可能性があると言われています。
十分な睡眠は健康や生活の質の基盤になる大切なことです。睡眠時間だけでなく、睡眠の質も重要です。ぐっすり眠ってスッキリと目覚めると、気持ちの良い1日が過ごせます。
睡眠中の脳は、90分周期で深い眠りと浅い眠りを繰り返しています。実は昼間の活動期にも90分周期のリズムがあり、90分間仕事や勉強をしたら、ほんの数分でも目を閉じて休息すると、それだけで脳は疲労を回復し、能率も上がります。
体温やいくつかのホルモンはこの睡眠・覚醒リズムと連動しています。たとえば、細胞の修復・再生を受け持つ成長ホルモンは深い眠りに入ると盛んに分泌されます。
しかし、年齢と共に、睡眠も変化します。40代から深い眠りが減り続け、朝早く目が覚めるようになってしまいます。そのため、ライフスタイルや環境の工夫によって、睡眠の質を良くすることが必要になります。
そのヒントが、積水ハウスの研究によって導き出された「睡眠五感」です。
睡眠の質を高める空間・インテリアの工夫を、「視覚(目)」、「聴覚(耳)」、「嗅覚(鼻)」、「触覚(皮膚)」、「温熱感覚(体温)」、の5つの感覚が心地良くなるように考えました。
これら生理的メカニズムを整えることで、眠りと目覚めの質を高めることができるのです。
視覚
睡眠の質に深くかかわっているのが、光の環境。
昼間は明るい光の下で活動的に過ごして体温を上げ、夜は夕焼けのような落ち着いた色の光の下でくつろいで体温を下げる。この昼夜の体温変動に高低のメリハリがあればあるほど寝つきは良くなり、深い睡眠が得られます。
そのため、寝室の照明は、1日の陽ざしの色の変化を参考にします。ベッドサイドは赤みのある色の光で、朝は窓から差し込む陽ざしなどによって、室内がゆっくり明るくなっていく環境が理想的です。
聴覚
不快な音は遠ざけましょう。心地良いメロディーやリズムに心身をゆだねると、副交感神経の働きが高まって血圧が安定し、ストレスホルモンの分泌が抑えられます。HANAReではソルフェジオ周波数という副交感神経に作用する音楽を流しています。
嗅覚
寝室で気をつけたいのが、空気の清浄度です。空気を淀んだままにしておくと臭いがこもるので朝夕は窓を開け、新鮮な空気と入れ替えましょう。
寝室の空気を整えるのに、空気清浄効果があるものを寝室に1つ置くだけで、リラックスした気分になれます。
触覚
睡眠にとって大切なのは、肌触りの柔らかさです。柔らかな感触は副交感神経が優位になりやすく、くつろいだ気分で眠りに入っていくことができます。
そのため、リネンシーツは、汗をすばやく吸収・放出でき、肌触りがソフトであることが基本です。夏はひんやりとしたリネン、冬は暖かさを感じるカシミヤなどで、心地良い手触りを演出しましょう。
温熱感覚
夏は涼しい微風を感じることができれば心地良く眠れます。これは、風の気流が手足の皮膚表面の放熱を促して体温を下げるので、睡眠の質が高まるのです。
反対に、冬は電気毛布など人工的に加熱し続ける温熱環境では本来下がるべき体温がしっかりと下がらないため、朝起きた時に身体のだるさなどの症状を感じやすくなります。でそのため、身体が十分温まったら、スイッチを切りましょう。
寝つきを良くするためには、お風呂の入るタイミングを寝る1時間半前にしてみてください。この時にいったん体温を上げておくと、2~3時間後には自然な眠気が訪れます。
寝空間が自然とつながれば、眠りもすこやかなリズムを取り戻しやすくなります。入眠前と目覚めるときの幸福感も、眠りの質を高めてくれる大切な要素ですね。
睡眠の質は日常生活の質にも関わっているとも言われます。
今回ご紹介した「睡眠五感」を意識しながら、ご自身の睡眠を見直してみましょう。睡眠のお悩みを根本的に改善したい方は、是非一度HANAReにお越しください。