朝食と睡眠の関係
朝食は、3食の中でいちばん欠食することの多い食事です。
ダイエットのためや食欲がわかないからと朝食を抜く人や、ぎりぎりまで寝ていて作る時間も、食べる時間もないという人もいます。朝食をとっているという人でも、サプリメントを朝食代わりにしているという人もいて、食事の内容にも大きな差があります。
朝食を食べない人の割合は男性で14.3%、女性で10.2%。年代別では、男性は40代が最も高く3人に1人、女性は30代が最も高く5人に1人以上とされています。対象をひとり世帯の人に絞ると、この割合はさらに上がり、40代の男性では半数、20代女性の3人に1人以上が、朝食をとらないで1日の活動を始めているとされます。
朝食抜きの習慣のいちばんの問題は、体内時計がリセットされないということです。時間栄養学の視点では、朝食をしっかりとって体内時計をリセットし、日中の活動に備えて十分にエネルギーを燃やせるよう朝のリズムをつくることが重要です。
朝食をとらないと、肥満になりやすいことが多くの研究で明らかになっています。体内で何が起きているかを調べると、肝臓の末梢時計の時計遺伝子がリズムよく働いていないこと、脂質をエネルギーに変える代謝のリズムが乱れていたことがわかりました。また、体温の上昇にも異変がみられました。通常、体温は活動期(人では朝)に高くなり、休息期(夜間)に低くなります。研究で朝食をとらないラットはなかなか体温が上がらず、食べている最中にもかかわらず体温が下がってしまうなど、体温が高い時間が短くなってしまいました。体温が低いままだと、脂肪を燃やす酵素も十分に働かなくなります。こうした体の中の反応が、体脂肪を増加させた要因ではないかと推測されています。
さらに、朝食をとらないことと短時間睡眠も、体内時計の乱れという点でつながっています。
朝食をとらない人は、まず体内時計がリセットされません。そのため、栄養からエネルギーを作り出す代謝の働きがうまく動き出さず、肥満になりやすくなります。
また、朝食をとらないと、食べる時間も、活動する時間も、眠りにつく時間も、夜遅い時間帯へとずれていきます。その結果、学校や仕事の始業時間に合わせて無理やり起きなければならず、睡眠時間も足りなくなります。
睡眠不足もまた、肥満やメタボ、うつ病などのリスクを高めることが知られています。そして、朝、快調に起きられず、朝食をとる時間もなくなり、体内時計はリセットされないまま、夜型化が進んでいきます。
このように朝食欠食が睡眠不足を招き、睡眠不足が朝食欠食の原因をつくるというように、どちらも関連し合いながら悪循環をくり返すと、肥満やうつ病などにも繋がってしまいます。
朝食をしっかりとって1日の始まりのリズムを作り、不規則な生活にならないようにしましょう。