睡眠に関わる神経物質
スマホ依存で、多くの人の脳が疲れている中、改めて睡眠の大切さが注目されています。どうすれば睡眠と覚醒のリズムをコントロールし、適切な睡眠がとれるようになるのでしょうか。そのカギを握るのが、オレキシンを中心とした神経伝達物質です。覚醒すべきか睡眠すべきかは、生体活動に伴い分泌される神経伝達物質により支配されています。
オレキシンは、精神、肉体活動が円滑にいくように指揮をしている脳内物質です。長い時間、眠らないで活動していると効率が悪くなるため、私達の身体の起きている状態と眠っている状態の切り替えを行っています。
オレキシンと相互に作用する脳内物質の1つにメラトニンがあります。体内時計に働きかけて、覚醒と睡眠を切り替えて自然な眠りを誘う作用があります。メラトニンの働きが弱まると昼間オレキシンの分泌が増え、活動的になります。逆に夜にメラトニンが分泌されるようになるとオレキシンの働きは弱まり、睡眠モードになります。
メラトニンの分泌は主に光によって調節されています。光を浴びることで弱まり、目覚めてから14〜16時間後に体内時計からの指令が出てふたたび分泌されます。1日の活動では、朝起きて太陽の光を浴びると、メラトニンの分泌はしばらくの間弱まりますが、夜、暗くなってメラトニンの分泌が増えるにしたがって、眠たくなるのです。寝る前にスマホの光やコンビニの強い光を浴びると、メラトニンの分泌が弱まり、眠りにくくなってしまいます。
眠りに陥りやすくなるためには日中にオレキシンの分泌を活性化させ、夜間メラトニンの分泌を促す必要があります。
オレキシンが活性化されるには以下のような状況があります。
・感情が高ぶるとき
・血糖値が低いとき
・活動的に過ごすとき
昼間に活動することは、ノルアドレナリンやセロトニン、ドーパミンの分泌を増やす生活をすることになります。そのため、規則正しく過ごして、生活リズムを保ち、身体や脳に刺激を与えて、日中の覚醒を維持することが大切です。
覚醒と睡眠のリズムを整えるのに以下の習慣が大切になります。
・昼間の活動量を増やす
・朝の太陽を浴びてメラトニン分泌を高める
・規則正しい食習慣でオレキシンをコントロールしてレプチンを増やす
・就寝時に空腹のまま寝ない。血糖値を上げ過ぎないものを少し食べる
・腸活で自律神経をととのえる
・深部体温を下げる食べ物を摂る
・GABAで睡眠の質を高める
GABAは正式名をγ‒アミノ酪酸と言い、神経の興奮を抑えて心身をリラックスさせる脳の神経伝達物質です。不安やイライラを取り除いて、副交感神経型が高まり、睡眠へと導く作用があります。
これらのことを意識して生活をし、生活のリズムを整えましょう。