寒い時期の身体の冷え
寒い時期の健康問題として多いのは、身体の冷えです。冷えの原因はさまざまあり、大きく4つに分けられます。
今回は、それぞれの特徴と対応策についてお伝えします。
・足先~脚全体やお尻が冷える「下半身型」
この冷えは血流の低下が主な原因であり、加齢によって血管が細くなることや運動不足で血行が悪くなること、デスクワーク中や就寝時に長時間同じ姿勢が続くことによって起こります。
太腿やお尻はもともと脂肪が多く、冷えやすい場所ですが、ここに運動不足や血行不良によって老廃物や余分な水分が蓄積するとセルライトという物質が作られます。このセルライトが毛細血管やリンパ管を圧迫し、血流やリンパ液の循環が妨げられ、さらに身体が冷えるという悪循環につながります。
下半身型の冷えの対策は、運動不足と血行不良の解消です。特にふくらはぎの筋肉は「第2の心臓」とも呼ばれており、意識的に鍛えたり、マッサージをしたりすることで血行を良くすることができます。階段の昇降やスクワットに加え、下半身の筋肉を中心としたマッサージを心がけるほか、デスクワークで長時間同じ体勢が続く場合は、時々立ち上がって歩くことで、血液が滞らないように注意しましょう。
・手足の冷えがメインの「四肢末端型」
秋冬の寒い環境下では身体はまず、内臓を温めようとします。このとき、身体の中心で産生される熱量が運動不足や食事量不足で少ないと、交感神経がはたらき、手足の血管を収縮させて血流を優先的に内臓のほうに回そうとします。その結果、身体の末端に十分な血液が行き渡らず、手足が冷えてしまうのです。
冷えた手足を手袋やカイロ等で一時的に温めても良いのですが、根本的な対策は内臓を温めることです。そのため腹巻やカイロ、入浴によってお腹や背中をしっかり温めることが効果的です。また、筋肉が多いほどより多くの熱を産生することができるため、運動によって筋肉量を増やすことも対策になります。
・手足など身体の表面に冷えが現れない「内臓型」
胃腸症状などが出ることではじめて冷えがわかることから、隠れ冷え性とも呼ばれています。原因は自律神経の乱れといわれています。交感神経がうまくはたらかないと、四肢末端型とは逆に、末端の血管が収縮せず、内臓がうまく温められなくなり、体内の冷えにつながります。対策は冷たい食べ物や飲み物を控え、温かい食事を意識して摂ることです。生姜や唐辛子、根菜類など身体を温める食材を取り入れるとさらに効果的でしょう。またストレスの少ない生活や、規則正しい生活を心がけることで自律神経のはたらきを整えることも重要です。
・身体全体が冷える「全身型」
基礎代謝が低下する高齢者の方で多くみられます。対策は基礎代謝の改善であり、バランスのよい食事や、適度な運動習慣が効果的です。運動はラジオ体操のような、全身を動かすような運動が効果的です。他にも、甲状腺の機能低下によって代謝が低下している場合もあるため、生活習慣を変えても冷えが続く場合は内分泌科への受診をおすすめします。
このように体の冷えにはそれぞれ原因があります。自分自身がどの冷えに当てはまるか確認し、対策するようにしましょう。