慢性疲労症候群とは?①
慢性疲労症候群という言葉をお聞きになったことはありますでしょうか?
日本でも最近やっと普及しはじめた言葉になります。
言葉だけで見ると慢性的に疲れている状態を指しそうですが
実際は身体にとってはとても恐ろしい状態となっています。
今回は疲労や慢性疲労症候群についてお話していきます。
疲労とは?
疲労とは過度の肉体的、および精神的活動、または疾病によって生じた独特の不快感と
休養の願望を伴う身体の活動能力の減退状態である(抗疲労臨床ガイドラインより)と明記されています。
心身への過負荷により生じた思考能力の低下、刺激に対する反応の低下、注意力の低下
注意散漫、動作緩慢、行動力の低下、目のかすみ、筋肉の強張り、痛みなどが現れます。
文部科学省の疲労研究班による「慢性疲労による純粋経済損失」の報告(2004)では
慢性疲労症候群が原因で労働が不可能になった人による経済的損失は年間で約4000億円
働いてはいるが慢性的な疲労を抱えることで生産性が低下した人による損失は年間約8000億円
とされています(医療費を除いたうえでの損失額)
慢性疲労症候群とは?
日常生活に影響を及ぼす程の強い倦怠感や疲労感が6カ月以上に渡り続く状態を言います。
発熱、リンパ節腫大、咽頭痛などの感染症様症状、頭痛、筋肉痛、関節痛、脱力感
などの膠原病症状、睡眠障害、思考力低下、抑うつ、不安、などの精神・神経症様症状
などの多彩な症状が併発する可能性があります。
筋痛症性脳脊髄炎とも呼ばれ、1988年に米国疾病対策センターにより
慢性疲労症候群と命名された疾患概念になります。
原因・病態は明らかになっておらず、一般的な血液検査、尿検査
画像検査では鑑別することができません。
慢性臓器不全、慢性感染症、慢性炎症性疾患、主な神経性及び代謝・内分泌疾患
双極性障害、総合失調症、精神病性うつ病などの器質的疾患、病態を除外
されたうえで上記の症状がある場合、慢性疲労症候群と診断されます。
厚生労働省(慢性疲労症候群患者の日常生活困難度調査事業)より
疲労と慢性疲労症候群の違いと診断基準
慢性疲労症候群の疲労は十分な休養を取っても回復はしません。
米国の国立衛生研究所や医学研究所が2015年2月に慢性疲労症候群に対する
疾病概念を提唱しました。
慢性疲労症候群の診断基準には以下の3症状が必須条件としてあげられています。
- 就労、学問、社会活動、個人的活動レベルの大幅な低下を6カ月以上継続してみとめる
- 労作後に増悪する極度の倦怠感
- 睡眠障害(熟睡感、回復感を伴わない睡眠)
慢性疲労症候群は6カ月以上続く症状で十分な休養を取っても
回復しない症状です。
すでに半年以上症状が続いていて病院など検査では
異常なしとされた方の中には慢性疲労症候群になっている
可能性がございます。
次回のブログでより症状に関しての説明や
良いとされるアプローチ法について説明していきます。